↑タヌキの全身骨格
タヌキは我々日本人とって、もっとも身近な野生動物ではないでしょうか?
その理由には、以下のように彼らの生態が大きく関わっていると考えられます。
1.環境への適応力が高い
→雑食性であり、田畑や川、ゴミ捨て場など 人の生活圏の動植物やゴミなどを食べるため山から下りてくる。
自分で巣を作らず人工物も住み家とする。
2.生息数の多さ
→出産数が多く、家族単位で生活するため、同じ縄張りに複数のタヌキが生息している。
3.警戒心の弱さ
→個人的には、里山の中型哺乳類の中でも警戒心は弱い部類と感じています。
人や車と遭遇した際の逃走反応から、
キツネ>ネコ>タヌキ>アナグマ
の順に警戒心の強さが窺えます。
上記の理由により、
タヌキは活動範囲が人の生活圏に重複しており、人を恐れにくく、かつ数も多いことから人目に付きやすいことがわかります。
そのため、日本人にとって身近な動物として認知されているのだと思います。
それ故、交通事故で亡くなる(ロードキル)個体数も他の動物に比べて圧倒的に多いんですよね。
そんなタヌキの骨はどうなっているのでしょうか?
側面から
上から
一般的に丸々としたイメージのタヌキですが、骨になると随分シャープな印象です。
実際、夏場のタヌキは体毛もペッタリしていて痩せ細った見た目をしています。
反対に冬場は皮下脂肪を蓄え、モコモコの冬毛に変わるので、皆さんのイメージに近い姿となります。
また、顔周りの体毛が横に張り出すように伸びるため、さらに丸顔になっていきます。
次はお口の中を見てみましょう。
上顎を下から
下顎
タヌキの歯列標本
歯を見てみると
餌をくわえる門歯
肉を噛み裂く犬歯と前臼歯
木の実や小型の獲物を噛み砕く後臼歯
というように、雑食性の特徴がよくわかります。
最後に、下の写真を見てそれぞれの相違点・共通点はどこにあるか探して見ましょう。
これらの個体はいずれも岩手県内で採集した標本です。
こうして見比べて自分なりの発見をすることも標本収集の面白さだと思います。
それでは、また。
*おまけ
今日のお土産『テン(オス)』