スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

食レポ

 お久しぶりです。

 昨年末から自身や家族の健康問題、職場でのパンデミックなどが目白押しで公私ともにずっとワチャワチャしていました。

 感染も一旦落ち着いたものの今度は別の病棟で発生したりと未だコロナ&インフルの脅威は去っていないと身を持って感じている今日この頃。

 一応、そんな中でも相変わらず動物を拾ったり貰ったり、新しい冷凍庫を買ったりと趣味の時間とお金は絞り出しておりました。家族も今は元気です。

 

 さて、今回は初めての味覚に出会ったのでご紹介したいと思います。

 

 それがこちら↓

何かの卵です

 

 

 お値段200円。滝沢市の台所『土日ジャンボ市』で購入しました。

 ピンポン玉くらいの大きさで、プヨプヨしていますが爬虫類のような『薄い殻』よりも『厚い膜』という触感です。弾力は弱く、表面はしっとりしていますがベタつきやヌルつきはありません。

 さて何でしょう?

 

 

 正解はサメの卵です。

 沿岸部出身の同僚達に聞いてみましたが誰も見たことも聞いたこともないとのことで、食用としての認知度は低いようです。

 私も今回初めて目にしました。お値段もお手頃ですし、未知の味を確かめずにはいられないライオスの如き食への探求心が「もちろん買うよな!?」と囁きます。

 横目で妻を見ると「買っていいんだよ。私は食べないけど」と先手を打ってきました。想定内の反応です。

 

 お店のマダムに食べ方を聞いてみると、鶏卵と混ぜて卵焼きにするそうです。

 ネットでも調べてみたところ、食用として流通しているのは主にアブラツノザメの卵だそうで、食べ方もマダムから教わった方法がメジャーなようです。ただ、ネットでもヒットする情報は極僅かで、全国的にもマイナーな食材だとわかります。

 

 では助言に従って卵焼きを作ろうか?しかし、それで本当のサメ卵のポテンシャルを確認できるのか?でもどんな調理法が思い付く?

 色々考えた結果、卵焼きと茹で卵でいただくことにしました。

 

 ちなみに匂いを嗅いでみると僅かに魚臭を感じる程度で特に気になる匂いはありません。

 まずは卵に包丁を刺して中身をボウルに絞り出します。

 中身は若干黄色がかった白で、ゆるゆるのカスタードクリームのようです。

 せっかくなので生を一舐め。ヌメりはなく、少しザラつきを感じます。味も匂いも何もないので、ただ『舌触りの悪い何か』が口内に存在するという感覚です。

 外側の魚臭さも中身には感じられなかったので匂いは卵より母体由来のものだったのでしょう。

 

 とりあえずサメ卵4つに鶏卵1つと白だしを少々混ぜて卵焼きを作ります。

 鶏卵とはよく混ざるんですが、フライパンに広がりにくく滑りも悪いです。焼くと固まってくるものの、巻くために返そうとするとモタっとしていて返しにくい。

 

サメの卵焼き

 

 鶏卵だけより白みがかっています。

 箸を入れると固さがあり、食感はボソボソしています。サメ卵らしい味も匂いもなく、鶏卵の味も薄まっているので見た目は卵焼きなのに全く別の何かです。何を食べているのか本当にわからなくなります。

 生クリームとか牛乳とかで滑らかさを足して、ハーブやスパイスで香りを付けてみたらワンチャンあるかもしれません。

 

 では茹で卵は?

こんなんなっちゃった

 

 お湯に入れた途端に膜が破れて中身が出てきましたが、流れ出て行くとこなくすぐに固まりました(左上のシワシワが縮んだ膜の成れの果て)。50秒程茹でて引き上げます。

 全部が白身。やっぱり味はなく、モサモサした食感で口内の水分が持ってかれます。固茹でしすぎた味のない卵の黄身を粉っぽくした感じでしょうか?

 醤油をたらしてみると醤油味。でも、めんつゆをかけてみたら幾分か美味しさを感じられたので、そのまま茹でるより煮付けにすればもっと美味しくできたかもしれません。

 

 食レポと言いつつ、初めて感じる味と食感で謎な例えでしか形容できませんでした。

 旨からず、さりとて不味からず。もう一度食べたいかと言われたら「もういいや…」となりそうですが、無味無臭のため課題である食感・舌触りさえクリアできれば活用法は広げられるかもしれません。

 

 それでは、また。

 

野生動物の生き死に

 秋田県で建物に侵入した親子熊3頭を殺処分したことに対して苦情が殺到しているらしいですね。

 『命を大切に』という考えは日本人なら幼少期から教え込まれてきたことであり、間違った考えではないでしょう。しかし、ヒトは独自の社会と生活環境を作り自然界とは一線を画した生き方をしているように見えても、自然と断絶して生きることのできない生き物であり、生命や生活、仲間を守るため野生動物の命を奪う場面があるのもやむを得ないことだと思います。

 有害駆除や外来生物駆除、ノネコ・ノイヌ駆除などに対して「殺される動物がかわいそう」という理由だけで批判する人は、その動物の一側面(主に外見と自分の都合)しか見ていないように感じます。

 

 今回は重いテーマではありますが、野生動物の生き死ににヒトがどう介入していくのか、私の考えを述べていきます。

 先日、数ヶ月ぶりに夜中のドライブをして最初に見つけたのはタヌキでした。

 

 白線上に横たわるタヌキを発見し、いつものように手袋とゴミ袋を用意して回収に向かったのですが、タヌキはまだ生きていたのです。

 

前肢で身体を起こそうとしても

へたりこんでしまう

ヒトに気付いても怯えた様子は見られませんでした

 

 意識はあるものの外敵の接近に対して逃走しようとする反応がなく、首もフラフラしていたので意識障害を起こしていたのでしょう。

 吐血はありませんが周囲にブドウの皮の塊があったので嘔吐していたことが分かります。

 後肢が変な方に曲がっており立ち上がることもできなかったので、少なくとも腰椎~骨盤は骨折しているでしょうし、嘔吐していたことや朦朧状態であったことから内臓か頭部を損傷していた可能性があります。

 見た目にも痛々しく「かわいそう」と感じられる状態です。普段死んだタヌキばかり扱っているので、稀ではありますがこの状態で発見すると毎回戸惑ってしまいます。

 

 ここで私がどんな対処を選択したかというと、『路上から退避させて放置』でした。

 路上から退避させたのは後続車の事故やタヌキを食べに来た動物の二次的な事故を防ぐためです。

 この状態のタヌキを放置することに対して批判的な考えを持たれる方もいると思いますが、それこそ先述した「一側面しか見ていない」考え方です。私のブログを読まれている方の中にはいないかとも思いますが。

 

 では、なぜ放置するのか?

 一般的にケガをした動物を助けることは美談とされる傾向がありますが、野生動物だっていずれは死ぬものですから、生きるか死ぬかは自然に任せるのが望ましいです。

 そしてここで議論になるのが、「交通事故によるケガはヒトの活動に伴って生じるものであり自然死とは異なる現象。ヒトが責任をもって救護すべきでは?」という考えです。

 これについては私も悩ましいとは思いますが、ヒトも自然に関わりながら生きる生物である以上、意図せず野生動物を傷つけてしまうことも自然界の出来事と捉えています。

 動物を傷つけることを目的として意図的にケガをさせる事案はそうそうないと思いますが、その場合は状況に応じて違った判断が求められるでしょう。

 そして、タヌキは狩猟対象であり、地域によってはヒトの生活に悪影響を及ぼすこともあるため、そうした人々にとっては生かすこと自体に意義がないと認識されていることも忘れてはなりません。

 

 すると今度は、「助けられないなら、せめて苦しまないよう安楽死させてあげたい」という意見が出てきます。

 安楽死なら死を回避できずとも苦痛から解放させることはできるので優しい選択ですね。しかし、どんな状況・状態であっても無許可で野生動物を捕獲・殺傷することは認められていません。

 自らの手で殺すことも獣医師の元へ連れていくこともできないならば、そのまま死ぬのを待つしかありません。そもそも野生動物は交通事故以外でもケガを負ったり病気になったりして長く苦しみながら死ぬ個体もゼロではないですから、交通事故の犠牲者だけ苦痛から解放してあげようというのはおかしいです。

 そして助からない状態に見えても自然治癒して山に戻っていく場合もあるので、転帰がどうなるかはその場で判断することはできません。回復してたかもしれない個体を安楽死させてしまったら取り返しがつきませんね。

 

 私もこのタヌキを助けたいという感情がないわけではありません。それでも、感情と切り離した判断が必要なことを知っているため、心を鬼にして放置する選択をしています。

 

 動物種によっては救護が必要な種もいますし、救護活動をしている方にも敬意をもっています。但し、それはその方々に専門的な知識と設備があり、望ましい野生動物との関わりを理解した上で矛盾を認識しつつも活動されているからです。

 自分の感情的な意見を正しいと信じて野生動物とヒトとの関係性を考慮せずに救護だけを求めるくせに、実行や費用負担を他者に委ねる所謂『動物愛誤』には敬意を持てません。

 死ぬものは死ぬ。生きるものは勝手に生きる。それが自然界です。少なくとも私を含め一般人が手出しして良い領域ではないというのが私の考えです。

 

 私もかつて無知だった頃にはケガをしたタヌキを拾って動物病院に連れていこうとしたことがあるので、反省すべき点はあります(「死んだら骨に…」という目的はありましたが)。結局その個体は搬送中に亡くなり標本ケースに収まりました。

 あと、野生動物を動物病院や動物園に運び込むことは他の患畜や飼育動物への感染リスクもありますし、対応にかかる手間や費用の負担など施設に迷惑をかけることになります。あのとき連れていけなくて良かった。

 ですが、その経験があったからこそ野生動物の救護に関する情報を意識して集めるようになり、今の考え方に至った経緯もあるので、救護推奨派の方も知識を得て考えが改まってくれることに期待したいです。

 

 ケガをした野生動物の取り扱いについては『傷病野生鳥獣』で検索すると各自治体のホームページで説明されています。

 いずれも要約すると「野生動物に余計なことしないでください」って内容です。

 救護対象は限定的で、ほとんどは特別天然記念物絶滅危惧種で、治療によって自然に還せる可能性がある状態であることが条件のようです(他にも判断基準はありますが)。

 もしケガをした動物を発見して対処に困ったら発見地の自治体に問い合わせてみましょう。

 

 尚、翌日現場を見に行きましたがタヌキの姿はありませんでした。自力で移動することはできないので、死んで回収されたか生きて回収されたか…、行く末を知る術はありません。

 

 それでは、また。

 

 

岩手の夏は短い

 2ヶ月前に解体したヤギはデカ鍋で水浸けし、約1週間おきに水換えをしながら様子を見ておりました。

 

肉はもうありません

頭も良い感じ

 

 若いので数ヶ所バラけています。

 普段ならあと1ヶ月は置きますが、連日の猛暑で高温が保たれたおかげで腐敗も順調に進みましたので、一旦引き上げて乾燥してみることにします。若いし脂肪の少ない個体だったので骨に残った脂肪もほとんど抜けたとは思いますが、乾燥してみて脂が浮いてくるようなら洗剤水に浸けて脱脂を追加する予定です。

 

 そして用の済んだデカ鍋には別個に腐らせていた中型哺乳類達の骨をまとめて水浸けする役目を与えます。

 この骨達は木陰に置いてたため、あまり水温が上がらずヤギより腐敗が進んでいませんでした(昨年からのものもあります)。肉はもう無いですが、骨髄や脂肪はまだ残っていそうなので、鍋に入れて日当たりの良い所で水温を上げて今夏中に仕上げてしまいたいです。

そっと置かれた怪しい鍋

 

 骨しかないので動物に荒らされることはないでしょうが、一応鎖で封印しております。

 タヌキ3、アナグマ1、ハクビシン1、ウサギ1が収まった見た目も中身も特級呪物の如し。

 

*おまけ

 アオダイショウはこの暑さでも食欲旺盛です。 

餌はアダルトラットMサイズ

皮が伸びて鱗が広がるところが好き

ナマケモノ(一応)完成

 暑い日が続いたおかげでナマケモノの脂も良い具合に抜けたようです。

 

 

全体

 手根骨や指は出していません。

 やはり肋骨は数や二段式になっていることなど奇妙ですね。

 椎骨に対して四肢の骨が長く頑丈な印象です。

 

左肋骨

 前の方は肋骨の関節(?)が癒合しており、10番目から分離しています。他の動物だと肋軟骨にあたる箇所だと思うのですが、肋骨本体と分離した肋骨とは軟骨で繋がっていて胸骨まで直接伸びていました。

 これについては情報不足で理由はわかりません。

 

骨盤

 仙骨の形も奇妙ですが、他の動物と同様に仙椎が複数繋がって形成されているのがわかります。仙骨は腸骨と仙腸関節(赤枠)でつながってるのに、さらにその先で座骨(青枠)ともつながっています。

 この個体はメスですが、仙腸関節も恥骨結合も完全に癒合しており出産の際に広がらないので大きな子は産みづらそうです。

尾椎

 存在感がほとんどなく、作りも雑です。

 

左前肢

 肘関節の嵌まり方は浅く、上腕骨と橈骨の遠位端が広がった形状も不思議です。

 

左後肢

 大腿骨頭は若干前向きで周囲の凹凸も少ないです。

 脛骨と腓骨の間が開いています。ここには筋肉が詰まっていたわけではなく丈夫な膜が張られていました。

 

 肘や膝の関節を見てみると、陸上の四足動物に比べて関節の作りが甘いように見えます。他の四足動物は上からかかる自重を下で支える構造なのに対し、ナマケモノは懸垂した状態で自重を支えるための構造になっているのでしょう。

 

頭骨

 歯並びだけ見るとトドのよう。犬歯だと思ってたのは臼歯らしいです、知りませんでした。ってことは、ナマケモノには臼歯しかないんですね。

 この臼歯は上下が擦れ合うことで鋭利さを保っているようです。イノシシやアナグマの犬歯と同じ。

 さらに歯槽骨には上下の歯が収まる窪みがあります。顎を動かすと歯がきれいに収まって気持ちいいです。

 

頭骨の内部

 ファイバースコープで中を覗いてみました。カメラの形状の都合でこの角度でしか撮れませんが、内部もシンプルな構造で外部と繋がる孔が少ないです。

比較用にイヌの頭骨内部

 

篩骨

 薄い膜でできた袋状の篩骨も珍しいです。

イヌの篩骨


あと指

 真ん中に何かあります。一般的には左端から順に中手骨⇒基節骨⇒中節骨⇒末節骨となるはずですが、これは基節骨なのか?

 おそらく屈筋の腱を支持するための機能をもつのかと思われます。写真を撮っていませんが指骨の掌側にも明瞭な溝がありましたので、『指を曲げる』『曲げた状態を維持する』ことに力を注いでいるのでしょうね。

 指骨の関節面は肘や膝に比べて明確で、気持ちいいくらいピッタリ嵌ります。

 

 色々感想はありましたが、まとまらなかったので『生物の身体って面白いですね』と締めておきます。 

連休の大物

 今年の夏は暑いですね。

 岩手も連日真夏日で雨が全然降らず、農作物の生育が心配です。

 肉を腐らせるには良い条件なんですがね…

 

 そんな中、届いたのが巨大な冷凍便。夜勤明けで寝ている間に妻が受けとってくれましたが、重くて運べなかったため玄関に置かれていました。

 

 いつものことながら敢えて中身は問わない察しの良い妻。いそいそと開封する夫。

 まだ凍っているのに爬虫類特有の香りの中に若干の腐敗臭が…

 大きい分匂いも強く、一晩風呂場で解凍してみると風呂場に香りが充満してしまいました。

 

 作業台に載せてみましたが、いつものペットシーツでは役に立たないので今回はビニールシートを敷いています。

 屋外でも香りが強烈です。

 

ミズオオトカゲ

 体重12.9kg、体長91cm、尾長121cm

 デカイ!重い!長い!

頭だけでも私の手より大きいんです。

 

腹。

下顎は細かい鱗。

胸辺りの鱗は六角形。

お腹に向けて将棋の駒みたいな五角形になり、中心はジッパーのように左右が噛み合う形になっています。

 

所々爪がなかったり。

長い指と爪もカッコいい。

 

 全身触りまくってみましたが、筋肉が感じられないくらいプヨプヨで、お腹もぺったんこでした。

 前回のヤギと同様、何かしらの病気で衰弱していたのかと思いましたが、違いました。

 正中から切り開いていくと、筋肉が腐敗して溶けかけており、内臓も消化管以外は形をかろうじて保っている程度で、緑やら紫やらカラフルになっておりました。

 さすがにこの写真は載せられません。

 

長いと噂の舌骨。

 

 この日は剥皮しきることができず、内臓を除去した後、尾の付け根の骨を外して尾を残した状態で塩漬けしておきました。

 

~二日目~

 残りの尾の皮を剥いていきましたが、背部の骨と皮の境目が不明瞭なので尾の剥皮だけでも2時間かかってしまいました。

 とりあえず皮には肉が沢山残っていましたが、塩漬けして冷凍しました。

 

 肉の腐敗も進行中で、ハエがまとわりついて邪魔なうえに、作業場に選んだ日陰がクマバチの巣の近くだったので、クマバチに邪魔者扱いされながらの作業となりました。

 この日は頭、四肢までバラしたところで時間切れ。除肉までは出来ず…

 元から肉は水浸けで腐らせる予定でしたが、手根骨や頭骨がバラバラになるのは避けたかったので、腐敗が進まないよう乾燥させておきます。

 

~三日目~

 除肉の続きをしつつ、さらに細かくパーツ分けしていきます。

 肩甲骨、肋骨、骨盤を外し、尾を6分割し、左の前後肢を1本ずつバラして出汁パックや排水口ネットに入れておきましょう。

左前肢手根骨(橈骨・尺骨側)

左前肢手根骨(指骨側)

 

 手根骨、足根骨は位置関係がわかるように記録しつつ、組む際の参考にするため右前後肢をバラさず乾燥させておきました。

 

 あとはいつも通り自然の力に任せます。

 結局ここまで三日かかってしまいましたが、たまたま四連休だったので助かりました。

 連日猛暑の中、屋外で防護具を装着して作業するのは疲れますね。こまめに休憩、水分補給をしつつ進めましたが、色んな疲労が蓄積してしまい、連休最終日は寝たきりでした。

 

 それでは、また。

テン

 ある朝起きたら虫屋の先輩から「◯◯に向かう途中でロードキル見つけました。見つからないように側溝に隠しておいたよ」とのメールが届いていました。

 写真も添えられており、若いテンだとわかりましたが、詳しい場所は記されていません。ちなみに◯◯は先輩と息子さんがよく昆虫採集に行く山を示す地名です。

 

送られてきた写真

 

 まだ朝4時でしたが先輩に場所を確認するメールを送り、とりあえず先輩の家から◯◯までの道のりを辿って行くことにしました。

 手掛かりは大雑把な場所と写真だけ。

 写真に写っていた枝の形を記憶して、走りながら側溝沿いに落ちてる枝を見て判断するしかないか?

 

 ◯◯付近の駐車場あたりから側溝が有ったので一旦車を降りて中を覗きながらしばらく歩いてみましたが、枝葉がたくさん落ちているだけで何も見付かりません。

 車に戻りさらに先に進んでまた側溝を覗き…ということを繰り返していたら、生きたテンが道路脇でピョンピョン跳び跳ねて藪に消えていました。

 

 そして先輩から返信が。

 GoogleMapのスクショとともに詳しい場所の説明が添えられており、ようやく場所が判明したのですが、そこは最初に覗いた側溝でした。来た道を引き返し、教えられた場所の側溝を慎重に覗いてみます。

この辺?

何か黄色いものが、

あったー!

 

 上に葉が覆い被さっていてテンも半分に折り畳まれていたので、パッと見でわからなかったのも無理はありません。

 

若いメス

 

 出血も骨折も外からは確認できませんでした。

この顔を見ると『ハクメイとミコチ』の鰯谷を思い出します(あっちはイタチですが)。

 いそいそと遺体を回収し妻が起きる前に無事帰宅。大丈夫、バレてないね。

 

 感染対策のために本当は一旦冷凍するべきですが、入らないのでその日のうちに処理しちゃうダメな大人です。

 

全身

 

 皮を剥いてみると頭頂部に血腫が見られました。よくあるパターンで、外から触っても分からないけど実は頭蓋骨が割れていたというやつ。

 かと思いきや、除肉したところ骨は無傷でした。皮下出血で済んでいたようです。

 

剥皮

 喉の辺りに出血があったので、肺がやられてたのか。

 

 若いから余計に毛が柔らかくふわふわしてます。

 

みんな大好き『内臓セット』

 胃内容物は昆虫でしたが種類は不明。

 

 あとはチマチマ除肉していきます。

 肋骨の付け根にもわずかに出血があり、頭部と胸部を打撲したことが死因かと思います。

 

 若いテンは初めてでしたが、小さいので骨をバラけさせないようポリデントに浸けておきます。

 

 この日もとんでもなく暑かったです…

こころの健康出前講座

 今日は仕事の話。というか広報をさせていただきます。

 

 日本精神科看護協会で行っている事業のひとつに『こころの健康出前講座』というものがあります。

 事業の概要は下記の通りです。

①目的

地域住民を対象にこころの健康に関する研修会・講演会・相談会等を開催することで、地域住民のこころの健康を維持・向上することと、精神障害への理解を深めること。

②講師

日本精神科看護協会に所属する看護師のうち、各都道府県支部から認められた者で、私と同じく精神科認定看護師も多く講師登録しています。

看護師という立場ならではの技術・知識・経験に基づき依頼者の希望するテーマに沿って講演します。

③対象

地域住民(地区の集まり、自治体、企業、学校、福祉施設など)。

医療施設以外ならどこからでも、誰でも依頼することができます。

人数も決まりはないので、数人から100人単位の受講まで幅広く対応可能です。

④費用

講師料、交通費は無料です。

会場の準備や使用料、資料印刷代などの実費は依頼者側で負担いただきます。

⑤テーマ

こころの健康に関することなら何でもOK。

依頼者の希望するテーマ、開催方式で行います。

⑥依頼方法

日本精神科看護協会HPより申込書をダウンロードし、内容を記載してメール/FAX/郵送でお送りいただくと、各都道府県支部から選定された講師が依頼者に返信します。

(登録講師一覧から講師を選ぶこともできます)

 

詳しいことは協会HPでご確認ください。

https://nisseikan.net/kokoro/demae/

 

 私も何度か出前講座を実施しご好評をいただいておりましたが、実はこの事業どころか協会の存在自体が一般に認知されていないのが現状で、ご依頼をいただく機会が少ないのです。

 なのでこの場を使ってお知らせさせてもらいました。

 

 労働者の過労死、高齢化に伴う認知症の増加、児童・高齢者・障害者虐待、有名人の自死や未遂など、こころの健康に関連する問題が報道される度に自身や身近な人のことが心配になる方も多いかと思います。

 そんなタイミングで広報するのは人の不安感につけ込んでいるようで嫌なので、なるべく報道が落ち着いている時にお知らせしようと考えていたのですが、そんな日は来ないと気付いたので、もうやっちゃいました。

 

 私が精神科で働くことを選んだのは、地域の認知症ケアをより良くしたかったから。そして精神科認定看護師を目指したのは、岩手の自殺対策について力になりたかったから。という背景もあり、自分の目的と地域の保健衛生のためにも、こうした活動は非常に重要だと考えています。

 そして岩手の方は私の講演を聴けるチャンスでもあります!

 

 協会HPをご覧になり、興味をもっていただける方が一人でも増えてくれると嬉しいです。