スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

ニホンマムシ

 今回は爬虫類。ニホンマムシです。

 毒蛇として有名なため、ヘビに興味が無くてもその名を知らない人はいないでしょう。
 猫のような縦長の瞳孔や独特の模様、ザラザラした質感、三角の頭、ずんぐりした体型、そして可動式の毒牙。
 いかにも毒蛇といった外見で素晴らしく美しいヘビですね。私も本州のヘビの中で特に好きな種です。
 ちなみに1番好きなのはジムグリ。派手な模様はなく地味だけど、それ故に綺麗だと感じる魅力があると思います。
 
 それでは話を戻して、マムシの骨を見てみましょう。

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全身
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肋骨
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尻尾

 同じ形の椎骨、肋骨が整然と並ぶ様は美しいですね。造形美もさることながら、こうして同じ形の椎骨が連なっているために、ヘビの体は柔軟に動かすことができるのだとわかります。
 また、哺乳類のように肋骨が軟骨や胸骨と繋がっていないので可動性があり、大きな獲物を飲み込んでも内臓が圧迫されることがないのです。
 肋骨の無いところから先が尻尾になります。この境目に総排泄孔という排泄・産卵のための穴があり、内臓の終着点でもあります。

 頭部は、

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 毒蛇らしく二本の牙が見えていますね。標本になれば刺さっても毒は注入されません。
 マムシというと毒牙に注目が向けられますが、その毒牙の後ろにも長い牙が倒れているのが見えますね。これは副牙といって毒牙のスペアで、サメのように牙が折れてもすぐに代わりの牙が出てくるのです。
 マムシは毒牙から毒を注入することで獲物の動きを抑制し捕獲します。そのため、獲物に巻き付く必要がありませんし、巻き付く運動も苦手なのです。
 つまり、マムシは毒牙を失ったら獲物を捕らえることができなくなってしまいます。だから副牙を備えておく必要があるのですね。
 
 それでは、また。