スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

サキシマスジオ

 前回に引き続き、今回もヘビです。
 今までは地元で回収した動物をご紹介していましたが、今回は地元以外で回収した個体となります。

 沖縄に生息するサキシマスジオは、日本在来種の中では最大のヘビとも言われ、その全長は優に2mを超えます。
 某鬼さんと鰐さんも血まみれになりながら捕獲していましたね。
 アオダイショウに近い種なので、大きいことだけでなく、顔つき、鱗の質感、匂いなどやはり似ているところは多いです。

 この個体は数年前に新婚旅行で石垣島へ行った際に捕獲したものです。
 沖縄に行くにあたり、ハブを拾いたいと思って自作のスネークフック(伸縮&分解式)と洗濯ネットを持参していたので、路上にいるところを発見し、(妻の許可を得て)即捕獲できました。
 しかし、動きは鈍く、顔も歪んでいるようでした。おそらくバイクか自転車に頭部を踏まれたのでしょう。この状態では長くはもたないと判断し、冷凍庫で永眠させることにしました。

f:id:scavengerns:20210518205611j:plain
捕獲時
 
 全長は約220㎝。死にかけとはいえこのサイズになると、腕に巻き付いた状態を片手で外すのに苦労する程の力があります。
 あと、サキシマスジオやその仲間は独特の匂いを放つのですが、捕獲後に洗濯ネットを入れていたリュックが再起不能になるほど匂いが染み付いていました。

 そんなこんながありまして、我が家に帰って早速標本作り。

f:id:scavengerns:20210518211346j:plain
全身
f:id:scavengerns:20210518211403j:plain
頭部

 完成品の写真がなかったので乾燥中の状態になります。
 2m以上ともなると姿勢の保持、肋骨間隔の調整は時間がかかります。肋骨1本1本角度を確認しながら虫ピンで固定していくので、半日がかりでした。
 マムシと違い毒牙はないので、同じ大きさの歯が並んでいます。そして毒を持たない分、獲物を締め付けて捕獲するため、体は長く力も強いのです。

 ヘビの筋肉は主に背骨に添って1本化した筋肉と、肋骨に添って並ぶ筋肉によって構成されています。隣り合う筋肉同士が繋がっていることで筋肉同士が連携し、力を任意の部位に集約するとともに力の分散を防ぐことができるため、獲物を絞め殺すことができると考えられます。
 これは四肢のある動物にはできない芸当で、たくさんある筋肉を繊細に操作することができるヘビの器用さが伺えますね。


 それでは、また。

*おまけ
f:id:scavengerns:20210519094130j:plain
珍しい猫のレリーフの橋