このブログではいつも骨になった状態しか写真載せていません。解剖中の写真をあまり撮っていないこともありますが、どこまで載せるとアウトなのかわからないので、あまり生々しい写真は載せないことにしています。
でも、フォルダ整理していたらマムシの写真が出てきたので、掲載してみようかと思います。
特に標本作りの参考になる話ではありませんし、慣れている方にとっては目新しい写真でもありませんので、悪しからず。
まずはそこら辺で捕獲します。
冷凍して締めます。
※基本的に標本作成のために動物を殺すことはしませんが、飼育不可能な種であること、自宅敷地内で捕獲した個体であり人的被害を予防することを考慮し、殺すことにしました。
飼える種なら飼育したうえで天寿を全うしてから標本にします。
皮を剥きます。
よく「ヘビの皮は簡単に剥ける」と言われますが、頭部と総排泄孔は剥きづらいので丁寧な作業を要します。
剥いた皮。
この写真では腹板を避けて切っていますが、腹板の真ん中から切るパターンもあります。目的によってやり方が違うようです。
剥き身。腹側。
細長いスペースをうまく使って内臓が収められています。
内臓を取り出します。
心臓、肺、卵が見えます。メスだったんですね、種の繁栄を阻害してすみませんでした。
未熟な卵。殻はプニョプニョでそれぞれ繋がっています。
除肉①
手作業で背骨周囲の肉をむしりとっていきます。肋骨も透けてきました。
除肉②
肋骨間の肉は無理に引っ張ると骨が外れるので、ハサミでチマチマ切り取っていきます。
片側が終わった辺り。肋骨がはっきり見えます。
除肉③
入れ歯洗浄剤に浸けて残りの肉を溶かします。
そろそろいいかな?
多少は筋や肉が残っていますが、このサイズなら乾燥すれば目立たなくなります。
乾燥。
針金や虫ピンなどを使って姿勢や肋骨の位置を整えて乾燥させます。
完成。
百均のコルクボードに針金で固定します。
今回は最後まで骨をバラすことなく作成しており、漂白もしていない、一番手数の少ない方法だと思います。なのでよく見ると脊椎の間や肋骨の付け根に肉が残っていて、標本としての見栄えはあまり良くありません。
商品や展示品のような、より完璧な標本の場合は、頭を外して別途処理したり、肋骨も脊椎も全てバラして完全に除肉・脱脂・漂白したうえで組み立てているので、時間も手間もかかります。
だからこそ、プロの作った標本には素材となる動物の価値だけでなく、作成者の労力という付加価値があるのだと思います。
余暇活動として趣味でやっている自分にはできないことに日夜取り組んでいる標本作成者達には、リスペクトしかありませんね。
それでは、また。