今回は先日拾ったアナグマが脂乗ってて状態も良さそうだったので、骨取りがてら食べてみようかと思ったお話です。
子どもがいる場所で解体作業はしないことにしているので、実家に行って作業してきました。
発見時の状態。とても丸い。
母親はいつものように「今度は何拾ってきたの?」と露骨に嫌な顔をしますが、アナグマを見せると「可哀想に」と言って撫でたり、解体を見物したりと興味津々。
食べてみるか聞いてみると「えっ、食べれるの?」と驚きながらも、肉を入れるためのボウルを持ってきました。もう食べる気満々。
イノシシの時も感じましたが、ビジエへの抵抗がない家族なのでその辺は気が楽で助かります。
解体前のお腹。
お腹がまん丸で妻曰く「亀みたい」
触った感じでは右大腿骨の骨折は分かりましたが、他は特になさそう。吐血もないので、おそらく腹部臓器の損傷が死因かと思いましたが、この後予想だにしない事態が。
陰茎が見えなかったのでメスだと思ってましたが、解体してみたら未成熟な陰茎と陰嚢がありました。この体格でまだ若かったということに驚きです。
手足はいつ見ても良い。
顔。体の割りにスマートな印象ですが…
1時間かけて剥皮。脂だらけ。
皮。やはり腹回りがデカイ!
食用に解体するのは時間がかかります。
皮を剥いてみると腹膜が破れており、骨盤も割れているみたい。まぁ大体予想通り。
ところが開腹してみると、胃、大腸、直腸、肝臓が破裂しており、胸腔内の肺や心臓からも出血がありました。未消化物も直腸内容物も完全に混じりあってて、もはや腸なのか筋肉なのかも判別できない状態は完全に予想外です。
当然消化管内容物が付着したり、出血した部分の肉は食用になりません。
採取できた可食部分。
ほとんど脂で肉は少ないです。汚染された部分やその周辺を除去したら、正味2kgも残りませんでした。
ちなみに肋骨、脊椎も複数箇所骨折していました。分厚い脂肪のおかげで外側からは骨折を見抜けていませんでした。
実は当日の早朝にタヌキを2頭拾っていたので、この子達も一緒に解体しました。
事故現場。
2頭同時に轢かれたのか、1頭の遺体に近付いていた時に轢かれたのか?
1頭目。歩道にいた個体。
まだ若いメスで、もう1頭も若いメスだったので姉妹だったのかもしれません。
顔や腹にハエの卵が産みつけられていました。
腹膜も緑になっていたので、前日に亡くなっていたようです。
見た目は綺麗そうですが、両後肢、骨盤、脊椎、肋骨骨折がありました。
アナグマの後にタヌキを捌くとその匂いの違いがはっきり分かります。
2頭目。車道脇にいた個体。
左後肢と胸部に食痕あり。全身の骨も粉々でしたが頭は無事だったのでこの子は頭部のみ回収としました。
せっかくなので、肉付きの状態で比較してみます。
左がタヌキ、右がアナグマです。
こうして見ると、丸顔のイメージの強いタヌキの方が細い顔で、アナグマの方がしっかりした筋肉が付いて丸みがありますね。
眼窩下孔の前にある筋肉もタヌキよりアナグマの方がしっかりしていますし、眼球はアナグマの方が小さいですが、鼻腔のスペースは広いので、視覚より嗅覚が優れていることが窺えます。
生体や骨の比較だけでなく、皮膚の下を見比べることで分かることもあると改めて感じました。