スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

夢が叶いました

 みなさんは骨格標本を作る際に何を参考にしているでしょうか?

 私が骨格標本作りを始めたのは18~19年前で、当時ネットで情報収集しても詳しい作製方法を紹介しているサイトもほとんどありませんでした。そんな中、某動物病院長のブログが骨格標本作りの参考として一番役に立っており、そこからなにわホネホネ団の存在も知りました。

 

 そんな院長のブログの中で一番印象深かったのが『シークレット』の回で、院長に「何がどうなっているのか、とにかく奇妙」と言われていた動物。載っていた写真や説明だけでなく、もっと知りたいと興味を惹かれたものの、少なくとも一生自分の手元に来ることはない種であろうと諦めていたのですが、先日知人の紹介により入手することができたのです。

 一応断っておきますが、合法なルートです。 

 

 という長い前置きでしたが、今回の対象は『フタユビナマケモノ

解凍後の姿

 後肢の向きどうなってるのかと思ったら、あぐらをかくような形になっていました。

伸ばすとこんな感じ。全体のフォルムも四肢の形状も見慣れない異質感が漂っています。

 体長66cm、体重3.9kgのメスでした。

 

 体毛は長くてカールして、絡み合っています。上半身はそれなりに流れがあるものの、下半身の毛はあっちこっちに流れてる印象。ゴワゴワしててフケも多いです。

 気になる匂いですが、獣臭さはなく、どこかで嗅いだことのある匂い。清潔なペットショップか牧場のような雰囲気に草の香りが紛れています。これがナマケモノの匂いなのか、個体差なのかは不明ですが。

 

前肢の爪。長い方で8.2cmありました。

 

後肢の爪。前肢よりは若干カーブが緩い。

 手掌や足底は意外に肉球より柔らかく、スベスベしています。

 

横顔。耳は?

毛を掻き分けたらありました。

耳アップ。生体ではなかなか見ることができない部位ですね。

 

お尻。黄色矢印が尾(2cm)、赤矢印が肛門。

 

見辛いですが、膣孔。肛門と繋がっています。

 

 ここから皮を剥いていきますので、赤い画像が苦手な方はお引き返しください。

 

 

剥きました。

 毛が絡まっている、慣れない身体構造、皮膚が厚くて硬い部分がある、皮筋?なのか皮膚と繋がってる筋肉が多い、など皮剥きは容易ではありませんでした。ここまで剥くのに2時間半かかり、皮膚を支えてきた左手の握力が限界を迎えたので、この日の作業はここで終了。

 印象としては全部が細い。現地では食用にもされているそうですが、食べるところは無いんじゃない?キングコングと闘ってたやつに似てます。

 前述の院長も四肢の筋肉のなさにビックリしていましたね。

 

うんち。肛門が開ききっててポロポロこぼれてきました。

 

腹。日陰になってしまいました。

 胸骨に繋がる肋骨は12対、繋がらない肋骨は11対の計22対。ちなみに人間は12対。

 

前肢

後肢

 

 とりあえずここまで。

 中身のお話は次回。

 

 ナマケモノの解剖写真はネットでも中々ヒットせず、英語のサイトでいくつか見つかる程度なので、実物をじっくり観察できるって本当にレアな体験でした。

 

 それでは、また。