だらだらと長文ばかり打つので、骨格標本の作り方だけで三回目に突入してしまいました。
文章力の無さと伝えたいことの多さ故、ご了承くださいませ。
という訳で、骨格標本の作り方③です。
④水に浸ける
水を張った容器や池などに投入して腐敗させる方法です。
水中のバクテリアが軟組織を完全に分解してくれるので、時間はかかりますが手間はかからず、うまくやればきれいな標本ができます。
腐敗液はドロドロしていて内容も判別しづらいため、液を捨てる時に骨まで流してしまわないよう注意が必要です。四肢や尾など細かい骨は排水口ネットで包んでおきましょう。
浸けたら骨になるまで放置しておいても良いですが、水の量が少ないと蒸発して水面に露出した部分だけ腐敗しなかったり、腐敗液の色が骨に染み付いたりするので、定期的に交換した方がよりきれいな骨にできると思います。
交換の目安は、始めは肉が腐敗して水に粘度を感じるようになったら交換。それ以降は2~4週間おきくらいです。こまめに交換しすぎるとバクテリアの繁殖が間に合わず分解が進みませんので、腐敗液の具合を見ながら判断していきます。この辺も経験を重ねないと分からないとこですね。
私の考えるポイントは、可能な限り水は多く。定期的に水を換える。水温は高い方が良い。自分の池を持っているなら夏場に洗濯ネットに入れて放り込んでおくだけで、これらのポイントをクリアできるのですがね。
腐敗臭はかなりのものになるので、集合住宅地や屋内では行えません。タヌキの頭だけでも近所にに匂いが漂うレベルです。
私は実家裏の畑の一画で行っているので匂いは問題になっていません。
方法としては便利なのですが、できる環境が限られるのが難点です。
また、水温が低いと死蝋化してしまい処理が大変になるので秋にはもうできません。あと、容器の蓋を完全に閉めると匂いは抑えられますが、酸素が遮断され嫌気性のバクテリアが繁殖してしまいます。彼らも分解はしてくれますが骨に変な色(黒とかピンクとかオレンジなど)が染み付くことがあるので、蓋は必ず少し開けておきましょう。可能なら蓋をせずザルやカゴをかぶせておくと、虫による分解も加わります。
もう一つ、タッパーやガラス瓶など透明・半透明な容器を使う場合、直射日光の当たる場所に置くと骨に苔が生えることがあるので、日陰に置きましょう。
私は水容器に蓋をせずコンテナを被せています。遺体の鮮度がいいうちはスカベンジャーに荒らされないよう重石をのせておきます。
⑤土や砂に埋める
遺体を埋めておくことで土中の微生物に分解してもらう方法です。
大まかに除肉することもありますが、時間がなければ丸ごと埋めてもできます。
小さな骨はなくなりやすいので、中型以上の哺乳類に適しています。むしろ大型動物向けですね。
土や砂の状態によりますが、ネコなら丸ごと埋めて1年でほぼ完全に骨だけになります。剥皮、除肉していれば半分の期間でできるでしょう。
水のように匂いを気にしなくて済むのと、解剖に抵抗がある人でもできるので、初心者には良い方法かと思います。
長く埋めておくと骨まで分解されて脆くなってしまいますし、土の色が骨に付いてしまうので、
引き揚げるタイミングは重要です。
埋める際は頭部や四肢、尾を排水口ネットに包み、体と一緒に野菜用ネットに入れておきましょう。
埋める深さが足りないと動物に掘り返されたり、ウジが湧いて出てきたりします。最低でも遺体の上から40㎝以上は土・砂を被せてください。
失敗例として、ベランダでできないかと考えてプラスチックの容器に砂を入れてタヌキの頭を埋めてみたのですが、匂いは出るわ、虫もたかるわ、雨水が腐敗液となって溢れるわ。今まで紹介した方法の悪いとこを全部寄せ集めた状態になったうえに、分解は進んでいないという結果を導いたことがあります。
『ベランダではやめよう!』
⑥野晒し
土に埋めるのに似てますが、もっと簡単。遺体を地面に置き、食害予防にカゴやネットをかけておく方法です。
もちろん剥皮や除肉した方が早いですが、穴を掘る時間もいらないので、「遺体を拾ったけど処理する暇がない」という時の手段です。
この方法の分解者は主にウジやシデムシなどの昆虫類です。雨風に晒すことで分解を早める効果がありますが、晴天が続くとミイラ化して分解が遅れることもあります。準備は早いが完成は遅いという諸刃の剣。
分解者達が遺体の下の土も掘り返すことで骨が分散してしまうのを防ぐため、遺体の下には目の細かいネットを敷くと良いです。
また、分解が進んできたら一旦回収して四肢や尾を排水口ネットに包んだり、水に浸けるなど他の方法に切り替えたりすることもできます。
一番骨を無くしやすい方法でもあるので、こまめなチェックと、食害予防が重要となります。
アナグマを晒し中(中身は載せられる状態ではないので自粛)。
農業用のアイテムは野外での骨格標本作りに便利な物が多いです。
⑦その他
オタマジャクシに食べさせる方法は以前説明したので割愛します。
もう一つ。手作業で地道に除肉する方法もあります。
この目的は作業を通して関節の状態、筋肉や腱の付き方など解剖学的な観察を詳細にすることです。骨の機能を知るためには軟組織との関係性も理解しておかなければなりませんので、特に初めて扱う動物種の場合に行います。最終的には入れ歯洗浄剤に浸けちゃいます。
ただし、とにかく作業時間がかかる。細かい作業が必要。やっぱり取り切れない部分が残る。などデメリットも多いので、よほどの情熱がなければお勧めしません。というか、骨格標本を作ることだけが目的ならメリットはありません。
これまで説明した方法は、とりあえず軟組織の除去に関する方法です。
それぞれ除肉が済んだら脱脂、漂白などしていきましょう。
ちなみに④~⑥の方法の場合、放置時間が長ければ脂も抜けますので脱脂の作業は不要です。私は骨の色には拘らないのと、メリットが少ないので漂白もあまりしません。
次回は骨格標本の作り方:番外編として、私の失敗談をご紹介します。
それでは、また。
*おまけ
最近骨の写真が少ないので。
ジュゴンのレプリカ