骨格標本の作成を何の知識もなく始める方は少ないでしょう。
私はその少数派でしたが。それ故、かなりの苦労と失敗をしました。
今はインターネットでどんな情報も手に入りますが、やはり紙の書籍も手元に欲しくなりますよね。なぜなら、骨格標本を集める人はコレクター気質なので、書籍もコレクションしたくなる性分だから(個人の見解です)。
骨格標本に興味のある方は動物好きでしょうから、動物に関する書籍は元々少なからず持っていると思いますが、骨格標本の作成や研究にあたっては標本の作り方だけでなく、身体の構造や機能、生態、進化など、学問として動物を知るための情報も必要になってきます。
そこで、今回は私が参考にしている書籍をいくつかご紹介したいと思います。
中には入手困難なものもありますので、気になる方はお早めに購入しましょう。
タイトルそのままの内容。骨格標本を作る人なら必携のアイテムですね。
作成手順が詳細に説明されているのでプロ、アマ問わず活用しやすい1冊です。但し、素人には手を出し難い機器や薬品の取り扱いについても書かれているので、そこは悔しがりながら読みましょう。
言わずと知れた盛口満先生の本。他にも著書はありますが、特にこの3作はお気に入り。(骨の学校1巻は現在貸し出し中)
私はこれらの本で著者や周りの人々のマニアックな趣味・思想に共感し、さらにこの世界にのめり込んで行きました。
初心者への導入におすすめの本ですね。
獣医師向けの専門書2冊。上はイヌ、ネコ。下は爬虫類がメイン。写真が多用されているので、解剖未経験者の方はこちらで予習しておくと良いかもしれませんね。
医師向けの専門書。お値段高め&入手困難です。人の頭蓋骨(とうがいこつ)に関して、発生、解剖、病理、外傷、治療など専門的な学びが得られます。ロードキルの外傷、年齢による差違などの考察の参考になります。
お持ちの方も多いでしょう。学術的な見方というよりも、骨そのものの造形美に焦点を当てたアート作品のようでもあります。機能性を追求した形はかくも美しい。
「骨を見られるだけで幸せ」という方にはたまらない本ですね。
こちらは洋書。上記の2冊と同様、骨の写真集のような内容です。タイトルの通りskull(頭骨)がメイン。
もう1冊洋書。こちらは哺乳類の比較解剖学がメインですが、日本では馴染みの薄い種の骨も見られるので、非常に興味深い1冊です。
こんな本を待っていました。著者も述べているように、犬種ごとの頭骨を比較した文献は皆無に近く、少なくとも一般人向けに発信された情報は今までありませんでした。
ただし、『よからぬ話』に登場した犬種は掲載されておりません。
オンデマンド販売のため、注文から到着までは日数がかかります。
写真家、宮崎学先生の『死』をテーマにした写真集。動物は死後、自然界に何をもたらすのか、どのような生き物が関与し、どのような経過を辿って地に還ってゆくのか、テレビでは見られない自然の営みをリアルに学ぶことができます。
スカベンジャーの営みが独特の表現で語られています。語り口はまさに欧米的。
著者の死生観にはとても共感します。私も死んだら火葬されるより野山でスカベンジャー達に分解してもらいたいな。
コレクションとは言いつつも、ただ収集しているわけではなく、骨から見出だされる動物の生態がわかりやすく書かれています。
「標本をどう作るか」よりも拾った遺体、作った標本を「どう活用するか」を学ぶために活かされると思います。
膨大な量の詳細かつ正確なスケッチを用いて、哺乳類の比較について丁寧に説明されています。
写真では陰影によって見えにくい部分もスケッチという手法で見やすく表現されているため、動物の体の構造を詳しく学びたい方におすすめです。
(胸部に修正を入れています)
死体に関する古今東西の情報が科学的に解説されています。遺体を取り扱う場合に役立つ情報も多いので一読することをおすすめします。
他にもありますが、今回はここまで。また気が向いたらやるかもしれません。
あとは、『頭骨大図鑑』が店頭に並ぶのを待ちわびています。
番外編
実在しない動物達をあたかも実在するかのようにリアルに描いた研究報告。
当時小学生だった私は活字部分をよく読まなかったため、「本当にこんな生き物がいるんだ!」と衝撃を受け、いつか実物を見てみたいと夢見ながら、こんな大人になりました。
本屋で生物学のコーナーを眺めていると、欲しい本が沢山あってどれも欲しくなりますよね。でもお財布は全てを購入することを許してくれません。
それでは、また。