スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

クサガメ

 最近雨ばっかりで何処にも行けず、勤務の都合も相まって夜のドライブも頻度が減り、行けても収穫ゼロが続いていました。

 仕方ないのでビバガを眺めている娘を撮ろうとしたら、気配を察知して閉じられてしまいました。

 そんなこんなで昨晩も夜勤前にいつものルートを流していたら、路上に赤い液体を流した物体を発見!
 見たことないシルエットでしたが、近付いて見ると、大きなクサガメでした。


 
 甲羅はぐちゃぐちゃに割れて内臓も散乱していましたが、まだ頭と前肢が動いていました。しかし、このような状態では治療したとて延命は無理でしょう。なまじ生命力が強いため、致命傷を負っても即死できず、長々と苦しむことになります。かと言って安楽死させられる術もありません。
 このまま放置する訳にもいかず、とりあえず回収してペットシーツにくるんで袋の中へ。申し訳ないですが、このまま死ぬのを待つしかありませんでした。仕事もあるし。

 そして仕事終わりに確認したらやはり亡くなっていました。
 という訳で、帰宅後解体作業開始。


未成熟な卵を持ったメスでした

頭もデカい

解体中、キイロスズメバチが肉を横取り

 爬虫類は哺乳類と身体の構造が違うので解体は苦労するのですが、カメは甲羅を持つ分、余計に構造が特殊で、刃の入れ方やバラし方に戸惑います。




開口ver.

 クサガメってこんなにデカい個体を生で見たのは初めてでした。
 甲羅は割れていたので正確ではないですが、甲長はおよそ22cm、腹甲も21cmはありました。


 甲羅以外では骨盤が幾つかに割れていたくらいで、頭や前肢は無傷でした。
 カメの頑丈な甲羅でも車の重さには耐えられなかったのでしょうね。もう少し早く通っていたら轢かれる前に助けられたかもしれないと思うと、残念です。
 もちろん標本は作りますが、事故のインパクトを示す材料として、甲羅は組まずにそのままにしようかな。

 クサガメ外来種なので、ヒトや地域の環境にとっては「繁殖を防げた」という考え方もできるでしょうが、どんな動物であれ事故で亡くなったり苦しんだりする姿を見るのは喜ばしいことではありませんね。
 カメは慣れていないので失敗するのが心配だけど、その死は無駄にしませんよ。

 それでは、また。