先日Twitterで北総水産様が「アメリカナマズをペットの餌、あるいは食用として欲しい方に無料で差し上げます(送料着払いで)」という旨の告知をされていたので、早速食い付きました。
写真にミシシッピアカミミガメやブルーギルも写っていたので、これらも貰えないか尋ねてみたところ快諾してくださいました。
そして届いたのがこちらの方々。
上・中:アメリカナマズ3尾(1尾は写ってません)
下:ライギョ1尾
ブルーギル1匹
ライギョは頼んでいませんでしたが、外来生物の食と標本に興味があることを伝えていたので気を遣って同梱してくれたようです。ラッキー!
岩手にもライギョはいるそうですが、分布は限局的で盛岡にいるという情報はありません。もちろんアメナマもいません。
テレビや他のブログ等で彼らが美味しいという話を見聞きして興味があったので、食べ比べのチャンスです。
今回はアメナマ2尾とライギョを捌いて食べることにしました。
解凍後のライギョ。ヌメりが凄いです。
横顔のフォルムはピラルクみたい。
ヘビのような頭。
肛門は中央より前側にあるんですね。
とりあえず三枚おろしにしていきます。
身は若干ピンク味を帯びた白身です。腹骨が尾まで続いており、この中には鰾?が収まっていました。変わった造り。
見慣れない体型と構造に戸惑いましたがなんとか綺麗に捌けました。
続くアメナマ。
やはりヌメリますが、お湯で洗い流しながらこそいだらすぐに落ちます。既に頭と胸鰭、背鰭、内臓は取り除かれていましたが、鰭は危ないですからね。これだけでも結構な手間なのに無料って、どんだけ懐が広いんでしょうか。
おかげで捌くのは楽でした。
白身ですがやや黄色みがあります。
腹骨の付いた腹身も普段は捨てますが、肉厚なので取っておいて別個に食べてみます。
身質の比較(上:アメナマ、中・下:ライギョ)
匂いですが、意外とどちらも臭みはほとんど感じず、顔を近付けて嗅いでようやく魚の「香り」がする程度です。身も皮も臭くない。スーパーで買ったアジやサバの方が匂いは強いくらいです。
そういう魚種なのか、生息環境のおかげか、捕獲後の処理が良かったのか、私の鼻がおかしいのかわかりません。一応皮も剥いでいましたが、これなら皮付きで調理しても良かったかも。
さて、とりあえず『揚げ』と『煮』で調理していきましょう。
揚げました(左:アメナマ、右:ライギョ)
アメナマは身がふわふわ・プリプリでタラに近いですが、タラよりも噛み応えがあり、臭みもなく甘味を感じました。旨い!
腹身揚げは加熱によって丸まってしまい、肋骨もあるので食べにくかったですが、食感がブリッブリで伊勢エビのようでした。もはや魚とは思えない食感に驚きです。
ライギョは身の密度が高いのに繊維は柔らかいので、歯切れが良いです。サメとサケを合わせたような感じでしょうか。味ははっきりしませんが味付け次第で色々楽しめそうです。十分旨い!
あと、食べてみて気付きましたが、どちらも小骨(上神経骨、上椎体骨?)がないので三枚におろしてしまえば腹骨以外は骨を気にせず食べることができます。
煮ました(上:ライギョ、下:アメナマ)
こちらも両方臭みはなく、やはりライギョの方が若干固めになるものの、歯切れは良く、煮崩れないので扱いやすいです。ナマズは結構縮みましたがプリプリ感が増して面白い食感でした。味も良い。
ライギョは原産国に倣ってスパイスやハーブも加えてエスニック風にするか、サケと同じような扱い方でも良さそうですね。
ナマズは定番の蒲焼きもやってみたいですし、汁物や鍋も合いそうです。
寄生虫が怖いので通常より加熱はしっかりしたのですが、全然硬くならないのもありがたかったです。
妻はこういった野食が苦手なのであまり食べたがらないのですが、夕飯に出したら食べてくれました。ライギョの方が好みだったそうです。サケ好きだからかな。
私はナマズの方が好みでした。本当に美味しい、しかもヌメリさえ取ってしまえば捌くのも簡単な部類で、さらに小骨がないので子どもでも食べやすいでしょう。
とにかくアメナマもライギョも食用としてのポテンシャルはスーパーで並ぶ食用魚にひけをとらない、むしろ勝るレベルのものであることがわかりました。本当に定期的に食べたい魚達です。
みんなも沢山食べて駆除に貢献しましょう!
これだけの手間とお金をかけて美味しい魚達を送ってくださったので「お礼を送りたいんだけど何がいい?」って聞いたら、大喜びで「環境問題や生物多様性問題に関するアドバイスと意見を頂戴したいです♪」って返ってきて、「超イケメンやん!」って思いました。
漁師という立場で外来生物や環境の問題に直面しながら、どうにかしようと真摯に取り組んでおられる姿勢に尊敬と感謝の念を抱かずにはいられません。
※アメナマ以外の外来生物もお送りいただいた件については北総水産様から許諾を得てブログに載せております。
欲しい場合には先方に連絡すれば対応してくださると思いますが、ご依頼の際は本業に差し障りのないよう配慮することと、必ずしも希望する種が獲れる訳ではないことをご理解くださいますようお願い申し上げます。
それでは、また。