*今回のお話も私の調査結果と考察したことを述べさせていただきます。
但し、今までとは少し方向性の変わった話になること、その内容が人によっては大変ショッキングなものであることを踏まえ、
『嫌な気分になる話は読みたくない』
という方は閲覧をお控えください。
また、閲覧される際には、あくまでも状況から考えられる『仮説の域を出ない』結論であることを前提としてお読みくださいますよう、お願い申し上げます。
長々と続いた話もいよいよ後編です。
調べた結果わかったのは、当該地域では「とある利用価値」を求めて特定の犬種の飼育・繁殖をする人達が相当数いたということです。
そして、これまでの情報を基に私はある推測に至りました。
利用価値を求めて大型犬を飼育していても、利用価値がないと判断された個体については飼育のコスト、スペース、手間を考えると飼育を継続することが難しくなります。しかも大型犬のため、そうそう引き取り手もおらず、もて余すことでしょう。
その対応として、イヌの殺処分が選択されたのではないでしょうか。さらに、そのイヌを食べていた可能性もあります。
その根拠は3つ。
①首を切断する際、より頭部に近い部位が切断されていたこと。これは可食部位をより多く得るために、頭部に肉が残らないようにすることが目的だった可能性があります
②単純に殺処分だけが目的であれば、自身へのリスクも伴う『首を切断する』という手段をわざわざ取る必要はありません。ナイフで頚動脈を切るか心臓を突くかすれば済むことです。
③四肢の骨にも下の写真のように刃物による痕跡があり、四肢を解体していたことが窺われます。
解体するだけなら大腿部の肉を切り取る必要はなく、遺棄するだけなら足首を切り離す必要もないでしょう。食用に解体したと考えるのが妥当だと思います。
大腿骨体部。斜めに走る2本の線は骨の繊維の流れとは異なる方向に付いており、動物の牙や爪よりも鋭利な傷であることから、刃物による傷とわかる。大腿部の肉を切り取るためについた傷だと思われる。
脛骨遠位端部(足首の間接部分)。横に数本、明らかな刃物傷がある。
しかし、①②については、合理性の有無に焦点を当てた推測であり、他の理由があるかは不明です。また、③についても複数発見された骨の中で、刃物傷が付いていたのはこの2本だけでした。故に、これらの根拠だけでは「食用に解体していた」と断言することはできません。
今でこそ犬肉食はタブー視されていますが、歴史的に見るとかつては我が国でも犬肉食が当たり前のこととして認識されていました。
知り合いのお年寄りから、幼少期に飼っていたイヌが近所の人に食べられたという話も聞いたこともあります。
そのような食文化は時代が変わっても当時を知る人によって引き継がれている場合があります。利用価値の無くなったイヌを食材として利用することもあり得る話です。
骨が一定の範囲でのみ発見されていたのは、殺処分後、埋めたり燃やしたりして処理する手間を惜しんだ結果、あの場所に遺棄することが彼らにとっての習慣となっていたためと考えます。
というわけで結論兼まとめ。
『当該地域における大型犬の飼育、利用に関する文化的背景及び、骨に残った刃物傷などの痕跡から、イヌの頭骨は利用目的に沿わなかった個体が殺処分、食肉処理された後、残った骨を防風林に廃棄されたものであり、その対象は複数個体に及び、常習的・習慣的に行われていた可能性がある。
但し、決定的な裏付けとなる証拠には乏しく、仮説の域は出ない』
といったところでしょうか。
大事なところを色々ぼやかしてしまったので、お読みの方には消化不良な内容となってしまったことでしょうが、あくまでも仮説の話であり、当該地域に不当な風評被害が及ばないための判断であることをご了承ください。
回収された頭骨群。
それでは、また。