前回はタヌキだったので、今回はよくセットで語られることの多い『キツネ』について。
タヌキに比べると遭遇率は低く、遺体を拾える機会は少ないですが、夜に山沿いの国道を車で走っていると道路脇に逃げていく姿を見かけることもあります。
警戒心が強いため、生きた姿を写真に撮ることは難しいですが、蔵王キツネ村では写真を撮り放題ですよ。
蔵王キツネ村にて
日本のイヌ科の中では特にイヌに近い顔をしていますね。
骨は、というと
上から
下から
下顎
側面から
この個体は事故で上顎の先端が骨折していたので、門歯が少しガタガタです
タヌキより鼻先が細長く、後頭部に丸みがありますね。
肉食傾向が強いためか、犬歯が長く下顎の下端まで達しています。スカベンジャー的にはここがキツネの頭骨の見所だと思っています。
ついでに、若いキツネの頭骨も見てみましょう。
上から
下から
下顎
側面から
成体に比べて鼻先は短く、丸みもさらに強い印象です。眼窩の割合も大きいようです。
歯を見てみると?何か変ですね。
これはちょうど乳歯と永久歯が生え替わる時期だったため、乳歯の下に永久歯が顔を覗かせている状態なのです。
もっと近くで見てみましょう。
犬歯が同じ穴から2本出ていますが、奥側の長い方が乳歯で、隣が永久歯です。
生きていれば、そろそろ乳歯が抜けて永久歯がニョッコリ伸びてくるはずだったんですね。
門歯も歯が乱立してごちゃごちゃになってますし、前臼歯の根元にも永久歯が僅かに見えています。
キツネもヒトと同じように、前歯から生え替わっていくことがわかります。
成体と幼体
並べると同じ種とは思えないほど違いがありますね。
他の動物もそうですが、骨だけで見ると年齢が若いほど種の判別が難しくなりますので、様々な年齢の標本を集めておくことで、白骨遺体の種の同定に役立ちます。
先月、老齢のキツネを拾って現在標本作成中です。こちらも完成したら比較してみるのが楽しみです。
それでは、また。
*おまけ
先月のお土産