スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

イノシシの比較

 好きな鬼殺隊士は伊之助。獣だから。

 冬とコロナのため外出の機会が減ってしまったので、最近はネットで骨を買い漁っていました。
 今回届いたのはアフリカ原産のアカカワイノシシの頭骨です。
 商品紹介の写真で見た感じではニホンイノシシに似ていましたが、どんなところに違いがあるのか気になって購入しました。
 
 という訳で、見比べてみました。比較用のニホンイノシシもヤフオクで購入したもので、オスの成体です。

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左がニホン、右がアカカワ。
 アカカワイノシシの方が大きく、骨も重厚感があります。
 全体的なシルエットは似ていますがアカカワの鼻骨の方が幅があり、鼻腔がふっくらしています。

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歯もほぼ同じ。こっちから見ると頬骨のゴツさがわかります。
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上顎門歯。
 ニホンは第三歯が小さく、離れていますが、アカカワはみんな仲良く並んでいます。
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ニホンイノシシの上顎犬歯。
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アカカワイノシシの上顎犬歯。
 犬歯裏側の溝はアカカワの方が深くしっかりしており、ザラザラしていますが、ニホンはつるつるしています。

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側面。
 ニホンは前頭骨から鼻骨の間に軽く段差があり、アカカワは逆に鼻骨と前頭骨が若干盛り上っています。
 鼻骨先端はニホンの方が長いけど、頭頂骨の後端はニホンの方は上方に伸び、アカカワの方が後方に伸びています。
 頭骨に対する眼窩の比率ではアカカワの方が小さいですね。

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下顎。
 ニホンの方が小さいのに犬歯は大きいです。
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門歯。
 ニホンは3対ですが、アカカワは左にだけ4本目の歯があります。これは左右どっちがスタンダードなのか不明です。

 アカカワイノシシの出品情報には性別が記載されていませんでしたが、オスのアカカワイノシシの鼻にあると言われている円錐状のこぶがないので、この個体はメスだと考えられます。
 また、ニホンイノシシも産地や年齢によって頭骨の形に相違があります。
 なので、今回の2個体だけの比較では、相違点が種差なのか性差なのか地域差なのか個体差なのかはっきりしません。研究的視点で考えるならば、性別が異なる別種のイノシシを見比べることは意味がないとされるかもしれません。
 今回の比較はあくまでも手元にある骨同士を見比べただけの個人的な好奇心による検討ということになりますね。今後もっとイノシシのサンプルが集まれば意義のある比較もできるでしょう。

 それでは、また。