以前、タヌキはヒトの生活圏に近いということを書きましたが、最近はタヌキに代わってヒトの生活圏に侵入してきている動物がいます。
タイトルの通り、『ハクビシン』です。
ハクビシンはかなり昔に日本に移入した外来種だとされています。
岩手でも20年程前までは分布していませんでしたが、沿岸南部の地域で確認されてから一気に県内全域に生息域を拡大してきました。
小岩井農場前で初めてハクビシンの遺体を発見した時は、「レアな標本が手に入った!」と感激したものですが、今ではタヌキに匹敵する数のロードキルに遭遇しています。
その繁殖力・環境適応力はかなりのものであることが窺えます。
さて、早速ハクビシンの頭骨を見てみましょう。
上から
下から
下顎
側面から
頭頂骨はつるつるしていて卵形をしています。
頬骨は比較的まっすぐで、顎の骨も薄くて華奢な印象です。
これは、噛む力がそれほど強くないことを意味します。
側頭筋は頭の上から下顎にかけて繋がることで、噛む動きができるようになっています。
なので、この筋肉が強い(厚い・太い)ほど筋肉の付着する頭頂骨は、よりしっかり固定するためにザラザラや凹凸が目立つようになり、頬骨も筋肉の太さに合わせて外側に張り出すため丸みを帯びてきます。
さらに側頭筋の発達した種では、頭頂骨の真ん中に外矢状陵という突起がありますが、ハクビシンにはありません。
参考:シェパードの外矢状陵
ハクビシンは果物を主な食糧とするため、噛む筋肉を発達させる必要がなく、このような頭骨の形となっているのですね。
それでは、また。
*おまけ
ハクビシンの乳歯