今日は朝から大きな地震が来て大変でしたね。岩手もかなり揺れましたが、とりあえず家(標本たち)は無事でした。
宮城の方達はご無事でしょうか?
さて、今日のお友達紹介です。
見た目はタヌキのようだけど、名前はクマ。でもイタチの仲間。
そんな曖昧な存在『ニホンアナグマ』
私は日本産哺乳類の中でアナグマが一番好きです。
丸々としたフォルム
つぶらな瞳
柔らかくよく動く鼻
それに似つかわしくない立派な爪
野生動物らしからぬ警戒心の無さ
味も良いらしい?
などなど…
アナグマの魅力は尽きることがありません。
深夜3時、競馬場近くで餌を探すアナグマ
この写真のアナグマは道路脇の草むらで餌を探していましたが、車が近付いても逃げなかったため車から降りて撮影したものです。
私が近寄っても地面に鼻をうずめて嗅ぎ回っており、足元まで来て初めて人の存在に気付き、目が合いましたが、慌てる様子もなく再び餌を探し始め藪の中に消えていきました。
実はアナグマは視力や聴力は良くありません。その分嗅覚が優れており、上記のようにして地中のミミズや昆虫を探して食べるのです。
そのため、餌を探している最中は周りの状況を把握できず、人が近くにいても気付かないことがよくあります。でも気付いても逃げませんけどね。
さて、そんなアナグマですが、頭骨はどうなのでしょうか?
上から
側面から
下顎
上顎
今回は上顎や下顎の写真の撮り方が違いますね。
実はアナグマの顎関節はしっかり嵌まり込んでいるため外すことができません。なので、いつものような写真を撮ることができないのです。
アナグマの顎関節
その他にも、今までご紹介したタヌキ、キツネ、ハクビシンなどと違うところとして、
頭骨の縫合線が完全に癒合して見えなくなっています。これはイタチ科に多く見られる特徴です。
アナグマの正面(眼窩下孔がはっきり見える)
比較用:タヌキの正面(眼窩下孔はアナグマに比べ小さい)
眼窩の前下方にある眼窩下孔という穴が非常に大きく目立ちます。
眼窩下孔は眼窩下神経や眼窩下動・静脈が通っており、鼻先、鼻腔、上顎の歯肉などに伸びています。眼窩下孔が大きいということは、『そこを通る神経・血管が太いor多い=嗅覚が優れている』ということを表しているので、アナグマにとって、鼻の運動・感覚がいかに重要かがわかりますね。
それでは、また。