スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

謎の中にはロマンがある

 ヤフオクやメルカリを検索していると、様々な標本も出品されていますが、中には出品者も何なのか分からずに出している物も見られます。
 商品名は『アライグマの頭骨』で、珍しさをアピールしてるけど、どう見てもタヌキの頭骨だったり。「たぶんシカの下顎です」と書いててもイノシシの下顎だったり。それはそれで見ていて面白いですがね。ちょっとヤキモキしてしまいます。

 今回紹介するのは、『底引き網で引き上げられた謎の骨』。
 出品者も何の骨かはわからないとのことでしたが、その大きさと謎に惹かれて好奇心のままに購入してしまいました。
 大きな骨は入手する機会が少ないので、ワクワクしますよね。

f:id:scavengerns:20211006102052j:plain
巨人と比べてもこのデカさ。長さは39㎝。
f:id:scavengerns:20211006102232j:plain
f:id:scavengerns:20211006102315j:plain
f:id:scavengerns:20211006102419j:plain
f:id:scavengerns:20211006102444j:plain
色んな方向から見てみる。
f:id:scavengerns:20211006102529j:plain
下端
f:id:scavengerns:20211006102608j:plain
骨頭

 表面が白いのは骨本来の白さではなく、長年海水に浸かっていたために何かミネラル的な成分(よく分かりません)が付着したものです。触ると白い粉が指に付いてきます。両端の一部は骨が露出していますので、この黄色っぽいのが骨本来の表面ですね。

 出品者からは、「種類が分かったら教えてください」と頼まれていたので、やはり正体が気になっていたようです。
 
 哺乳類の大腿骨であることは見て分かったのですが、国産の陸棲哺乳類や海棲哺乳類には該当する形態、サイズのものはいません。そこで、加藤嘉太郎先生、山内昭二先生共著の『家畜比較解剖図説』を参考に調べた結果、ウシの大腿骨ではないかと判断しました。

 なぜ家畜の骨が海底に沈んでいたのか?
 何年くらい経過したものなのかも私には分からないのですが、骨自体の劣化が進んでいないので、意外と最近のものなのかもしれません。
 逃走したウシが海で溺れたのか、食用として解体した残りが投棄されたのか?いずれも推測の域は出ないし、答えがわかることもないでしょう。
 標本としての価値はなくとも、この大きな骨を眺めながら色んな想像を膨らませて楽しむことにします。

 それでは、また。