スカベンジャーの標本部屋

本業は看護師ですが、趣味で動物骨格標本を作成しています。

ヒグマ大腿骨

 最近YouTube三毛別羆事件を再現したドラマ『羆嵐』がUPされているのを見つけました。同タイトルの吉村昭の小説や矢口高雄の漫画を読んでいましたが、ドラマを見ることはできないと思っていたので僥倖でした。
 公式のチャンネルではなさそうなので大人の事情は大丈夫なのかわかりませんが、普段映画やドラマは見ない私でも引き込まれてしまうほど素晴らしいドラマです。
 個人的には野生動物の生命を尊重する気持ちでいますが、人と生活圏の重なる個体は人の生活や生命を脅かすこともあり、有害鳥獣として駆除されることも致し方のないことだとも思います。実際に被害を被ったことのない人間が安全な場所から「駆除するなんて可愛そう」と言うのは無責任だとも思います。

 前置きが長くなりましたが、今回はオークションで購入したヒグマの大腿骨です。

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長さは約40cm
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こんなとこに孔あったの?と思ったら、骨髄や脂肪を抜くために人工的に開けた孔のようですね。
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上にも。

 第一印象は「デカイ!」
 持ってみるとずっしりと重く。まさに骨太です。

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タヌキと並べてみたけど、もはや大根と鉛筆。
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人の大腿骨と比較

 ヒグマの方が若干長く、太さも上ですね。人が貧弱に見えてしまいます。
 
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筋肉の付く面積も広く、付き方も人と違うようです。
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特に形状に違いがあると感じたのが、大転子と呼ばれる部分。
 上の外側の突出した部位で、いくつかの臀部の筋肉が付着するので、ここが発達しているということは後肢の運動に関わる筋肉が発達しているということでもあります。
 
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下端

 ここも大腿の筋肉の付着する部分がめくれたようになっています。こんな骨見たことありません。
 他にヒグマの大腿骨を持っていないので、ヒグマはみんなそうなのか、個体差なのかわかりませんが、厳しい自然の中で生きるための後肢の運動機能の重要性というのはわかりました。

 ヒグマの牙や爪を見れば、タイマン&ステゴロでは人は絶対勝てないとわかりますよね。でも大腿骨1本からでも、骨のサイズや太さ、そこから推測される筋肉の付き方などがわかり、「やっぱり勝てないな」と思わずにはいられません。
 いつか全身の骨を手にとって観察してみたいものです。

 それでは、また。

*おまけ
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残念なタヌキ

 頭から骨盤まで余すとこなく潰れていたので、回収は断念。山に返しました。